砂の器 北海道編 (2011年8月)
2008年、「白い影」のロケ地めぐりで名寄を訪れたとき、そこから日本海側へ向かえば
思いのほか近いところに、親子の放浪シーンに登場する廃線跡があるということを知った。
そうはいってもまだ雪の残るころだったのとそこまで計画をしていなかったので、そのときは断念したが、
今年3月、大震災のために断念した支笏湖行きのリベンジと合わせて、2つのロケ地を訪ねてみることにした。
オタモイ海岸
第1話の回想シーンから登場する小樽近郊のオタモイ海岸。
吹雪の中、激しい波しぶきが砕け散る岩場の海岸線を歩く親子の
後ろ姿が心に残る場面だ。
残念ながら、2006年に発生した崖崩れで、遊歩道は現在も立ち入り禁止になっており
海岸線を近くで見るためには遊覧船から眺めるしかない。
小樽港から出航する「オタモイ航路」の観光船。
所要時間は往復で2時間弱。
港を出ると乗客の投げるえさを求めて、たくさんのカモメがついてくる。
オタモイ海岸が見えてきた。
巨岩の左にわずかに映っているあたりが、あとで陸地から訪ねたところ(だと思う)。
巨岩の中腹にあるのは弁天堂の祠。
ここはその昔「龍宮閣」という3階建ての料亭があった。
戦前に作られたその建物は昭和27年に焼失したそうだ。
ネットで検索するといくらでも出てくる画像を見ると笑っちゃうくらいすごいものだ。
おそらくドラマの上からの映像はここから撮ったと思われる。
わずかな砂浜にゴロゴロと転がっている巨石を目印に探した。
ドラマの画面にも映っていた家には、今もおじさんがひとりで住んでいるそうだ。
立入禁止の遊歩道を、普通に原付バイクで走っているとか^^;。
急峻な崖のつづく海岸線と、日本海らしい深い青色の海が
印象的な景観を形作っている。
親子の歩く先にも見えていた「窓岩」。
オタモイ海岸随一の景観で、観光船の折り返し地点になる。
こんどは陸地から。
小樽港から車で20分くらい走り「オタモイ」の町を抜けると
オタモイ園地へ下りる細い道に出る。
細道にさしかかるあたりのちょっと小高くなったところにある「唐門」。
説明書。…このあたり、かなりさびしい場所で奇妙な風景ではある。
細道を下ったところにある駐車場の説明板。
かつてここには一大リゾート地として、さまざまな施設が作られていた。
駐車場の展望台から。
西日が強いので、窓岩までの険しい海岸線がうまく写真に撮れない。
ちなみに、ここは夕日の名所だそうだ。
遊歩道は立入禁止と知っていたが、海水浴場に降りる道まで工事中とかで
こんなことに。しばらく迷っていたが、何人かの人が入っていったのと
サーファーらしき人が上がってきたので、思い切って横の柵を乗り越えてみた^^;。
柵を乗り越えて下りて来た道が、この写真右側の急坂。
ここには映っていないけれど、岩場では何人かの海水浴客がいた。
また、キャンプ用のテントもいくつか張ってあり、
地元の人には工事中というのは全く関係ないようだった。
遊歩道の崖崩れ箇所を修復するための工事は行われているようだ。
いつかまた通ることができるようになったら、
今度は親子の歩いた海岸線をたどってみたい。
金駒内橋梁
親子の放浪の中でも最も印象的な場面のひとつが、
雪の降り積もった橋梁の上を歩いていくシーン。
旧羽幌線の廃線跡はかなり撤去が進んでいるという情報があり
早く訪れなくては、と思っていた場所だった。
羽幌町からさらに北に進んだ初山別村にある。
ドラマの画面で見るよりも、年月を経てさらに荒廃しているように見えた。
国道232号線、通称オロロンライン沿い。手前が稚内方向になる。
海に飛び込んでいくようなカーブは、羽幌線の有名撮影スポットだったそうだ。
今も廃線マニアには人気があるようだが、
この日は全く誰にも会うことはなかった。
このあたり、なぜか蜂が多く、歩いている間じゅうずっとブンブンと
つきまとうのがうっとうしくてしかたなかった^^;。
途切れた線路。
この道路沿いにはコンクリート製の「金駒内陸橋」があり、
それも旧羽幌線の遺構として有名だったそうだが、
すっかり撤去されてこのようなビニールシートにくるまれたものが
この先ずっと道路端に積まれている。
金駒内橋梁は、もしかすると陸橋のようにいずれ撤去されてしまうかもしれないので
まだきちんと形の残っているうちに行くことができてよかった。
「砂の器」の北海道ロケ地として判明しているのは今回の2ヶ所だけだったが、
協力として苫前の漁協や神恵内村などの名前があるので気にはなっている。
いずれオタモイの遊歩道が修復されたらまた訪れてみたいし、
そうでなくても積丹あたりからの海岸線をいつかもっとゆっくりと堪能したいものだと思う。